にじのきらめきとは?暑さに強い新品種の特徴と味を農家が解説

お米

「にじのきらめき」というお米、聞いたことはありますか?

あきさかりに比べるとまだ知名度は高くありませんが、暑さに悩む産地を中心に、ここ数年で作付けが広がっている新しい品種です。

UKA農園では、2026年に初めてにじのきらめきを栽培しました。あきさかり4反に対して、にじのきらめきは3反。この記事では、品種としての特徴、味わい、栽培上のポイントを整理してお伝えします。

あきさかりについてはこちらの記事で書いていますので、あわせてどうぞ。

にじのきらめきとは?

にじのきらめきは、農研機構の北陸研究拠点で育成された品種です。高温に強い「なつほのか」を母に、極良食味の「北陸223号」を父とした交配から生まれました。交配は平成21年の夏に、新潟県上越市の同拠点で行われたそうです。

品種登録の出願は平成30年、登録は令和4年と、お米の品種としてはかなり新しい部類です。

育成元の資料では、コシヒカリより高温や病気に強く、収量は3割ほど多い、さらにおいしいことをうたった品種として紹介されています。名前の「にじ」は、虹のように多彩な特性を持つことに由来するようです。

広がり方にも特徴があります。岐阜県では大手米卸がJAに働きかけて産地化し、外食チェーン向けにお米を供給しています。山梨県では令和5年3月に県の奨励品種に採用され、高温障害の軽減が期待されて作付けが広がっています。背景には、温暖化で白未熟粒が増えるなか、高品質で良食味、かつ安定した収量と品質を持つ品種を、中食・外食産業が求めているという事情があります。家庭用だけでなく、業務用としても注目されている品種です。

味の特徴

■ 食味評価は「極良食味」

山梨県の試験では、食味の官能評価で、外観をはじめとする多くの項目でコシヒカリと同等以上とされ、極良食味と評価されています。茨城県の試験でも、官能試験でコシヒカリとの間に有意な差はなく、同等の極良食味という結果でした。

「暑さに強い」「たくさん獲れる」という栽培面の長所が目立つ品種ですが、お米としての味も、コシヒカリに引けを取らないレベルだと言えます。

■ 見た目:つやのある炊きあがり

茨城県の生産者は、にじのきらめきの特徴として、虹のように鮮やかなつやのある、美しい炊きあがりを挙げています。また、大粒なので、粒の存在感があります。

■ 香り:炊きたてがよく立つ

UKA農園で育てて食べた印象では、香りが強いことが一番の特徴でした。ふたを開けたときに、炊きたてのご飯のにおいがしっかり立ち上がります。

■ 食感:あきさかりと並べると違いがわかる

食感は、人によって、また産地や炊き方によって印象が違うところです。茨城県の生産者は、もっちりとした食感で粘りが強く、甘みも強いと紹介しています。

一方、UKA農園であきさかりと炊飯器2台で並べて食べ比べたところ、あきさかりが「甘くてもちもち」だったのに対し、にじのきらめきはしっかりめ(固め)に感じました。

  • やわらかめでもちもちのご飯が好き → あきさかり
  • しっかりめ、固めのご飯が好き → にじのきらめき

が合いそうです。ただ、どちらもおいしく、優劣というより好みの違いだと思っています。

※食感は水加減や炊飯器でも変わります。

■ おすすめの食べ方

茨城県の生産者は、にじのきらめきについて、濃い味のおかずにも負けない味わいで、おにぎりにして、お米そのものの味を楽しむのもおすすめだとしています。

香りがしっかりしていて、食感にも張りがあるお米なので、味の濃いおかずやおにぎりとの相性は良さそうです。

あきさかりとの詳しい食べ比べは、別の記事でお伝えする予定です。

栽培の特徴

■ 倒れにくい

にじのきらめきは稈長(茎の長さ)が短く、耐倒伏性に優れるとされています。台風や大雨の多い地域では、収穫まで安心して育てられる大きなメリットです。

■ 高温に強い

平坦地では、出穂後の高温条件でも乳白粒や基部未熟粒の発生が少なく、整粒の比率が高いという試験結果があります。暑い夏が当たり前になった今、この点が最大のセールスポイントです。

■ 縞葉枯病に強い

これまでの高温に強い品種の多くが備えていなかった、イネ縞葉枯病への抵抗性を持っており、農薬散布を減らした低コスト栽培が可能とされています。縞葉枯病はウンカが媒介する病気で、発生する地域ではコシヒカリの収量を落とす原因になります。

■ 大粒で多収

千粒重はコシヒカリより2g以上重く、大粒です。平坦地ではコシヒカリより多収になるという報告もあります。

UKA農園でも、今年のにじのきらめきはよくできました。収量などの具体的な数字は、比較記事で紹介します。

栽培で気をつけたい点

どんな品種にも気をつける点はあります。にじのきらめきで特に押さえておきたいのは次の3つです。

① 育苗に少し手間がかかる

茨城県の試験では、現地の農家から「出芽しにくい」「苗が伸びない」といった声が出ていました。浸種はコシヒカリより1日長く、催芽もコシヒカリより長め、育苗日数も3〜5日長くするのが適しているとされています。

【あなたが育苗で感じたこと。例:「うちでは特に問題なかった/苗の伸びがゆっくりだった」など】

② 熟期はやや遅め

コシヒカリと比べると、出穂期は1〜2日、成熟期は2〜3日ほど遅い傾向があります。作業の段取りでは、収穫時期のずれを頭に入れておくと安心です。

③ 穂発芽と白葉枯病の抵抗性

穂発芽性は「やや難」で、種子の休眠が深い傾向があります。白葉枯病への抵抗性は「やや弱」とされており、発生しやすい地域では防除を徹底する必要があります。

※栽培条件は地域によって異なります。実際に作付けする場合は、お住まいの県やJAの栽培暦・指導資料を確認してください。

こんな方におすすめ

  • 暑さによる白濁米(白未熟粒)や品質低下が心配な生産者の方
    → 高温条件でも整粒の比率が高い品種として知られています
  • 倒伏のリスクを減らしたい方
    → 稈が短く、倒れにくいのが強みです
  • 香りのしっかりしたご飯、しっかりめの食感が好きな方
    → あきさかりと並べると、香りと食感の違いがわかりました
  • 新しい品種を試してみたい方
    → 今後、さらに広がっていく可能性のある品種です

さいごに

にじのきらめきは、暑さにも倒伏にも病気にも強く、大粒で多収という、栽培面の強みがとても多い品種です。それでいて食味もコシヒカリと同等とされていて、これから作付けが増えていきそうな期待の品種だと感じています。

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